最近為替がよく動いていることもあり、少し為替の歴史を振り返ってみたいと思います。
上のグラフが1973年からの為替の変動を表したもの。
下の表が1985年からの日本の経常収支等の一覧です。
単位:億円 | 経常収支 (a+b+c) | (a)貿易サービス収支 | 貿易収支 | (b)所得収支 | (c)経常移転収支 |
1985 | 119,698 | 106,736 | 129,517 | 16,036 | -3,077 |
1986 | 142,437 | 129,607 | 151,249 | 15,675 | -2,842 |
1987 | 121,862 | 102,931 | 132,319 | 23,483 | -4,553 |
1988 | 101,461 | 79,349 | 118,144 | 26,436 | -4,323 |
1989 | 87,113 | 59,695 | 110,412 | 31,773 | -4,354 |
1990 | 64,736 | 38,628 | 100,529 | 32,874 | -6,768 |
1991 | 91,757 | 72,919 | 129,231 | 34,990 | -16,150 |
1992 | 142,349 | 102,054 | 157,764 | 45,125 | -4,833 |
1993 | 146,690 | 107,013 | 154,816 | 45,329 | -5,651 |
1994 | 133,425 | 98,345 | 147,322 | 41,307 | -6,225 |
1995 | 103,862 | 69,545 | 123,445 | 41,573 | -7,253 |
1996 | 71,532 | 23,174 | 88,486 | 58,133 | -9,775 |
1997 | 117,339 | 57,680 | 120,979 | 70,371 | -10,713 |
1998 | 155,278 | 95,299 | 157,526 | 71,442 | -11,463 |
1999 | 130,522 | 78,650 | 137,783 | 65,741 | -13,869 |
2000 | 128,755 | 74,298 | 123,719 | 65,052 | -10,596 |
2001 | 106,523 | 32,120 | 84,013 | 84,007 | -9,604 |
2002 | 141,397 | 64,690 | 115,503 | 82,665 | -5,958 |
2003 | 157,668 | 83,553 | 119,768 | 82,812 | -8,697 |
2004 | 186,184 | 101,961 | 139,022 | 92,731 | -8,509 |
2005 | 182,591 | 76,930 | 103,348 | 113,817 | -8,157 |
2006 | 198,488 | 73,460 | 94,643 | 137,457 | -12,429 |
2007 | 247,938 | 98,253 | 123,223 | 163,267 | -13,581 |
2008 | 163,798 | 18,899 | 40,278 | 158,415 | -13,515 |
2009 | 132,867 | 21,249 | 40,381 | 123,254 | -11,635 |
2010 | 171,706 | 65,646 | 79,789 | 116,977 | -10,917 |
■長期変動
1973年から2011年まで円は増減はあるにしても一貫して円高方向に推移してきていることがわかります。これは経常収支が一貫して黒字だったことと整合しています。為替は基本は通貨の売り買いの需給で決まるため、経常収支が黒字の状態では外貨の収入が多いため外貨を売って円を買うことにより円高に行き易いということです。
ただ、そんな中でも円安に振れた時期が何度かあり、直近では1995年からの1998年までの3年間の円安です。
当時1990年から1995年まで5年間にわたって円高で推移してきていましたが、1995年を境に1998年まで3年間にわたって円安方向に動いています。
この期間も経常収支自体は毎年10兆円程度の黒字であるにも関わらず円安に振れたということは、経常収支以外の要因があったということです。
その一つが低金利の円を借りて高金利通貨を買う円キャリートレードです。
世界の為替取引額は一日4兆ドルと日本円で約380兆円と膨大なため、短期的には経常収支が黒字でも円安に振れることはあるわけです。
しかし片方に振れたとしても移転していない以上いつかは戻る訳で、また反対に振れたりと波のようになります。
つまり経常収支が黒字である場合には長期的には円高だが短期では上下はあるということです。
逆に経常収支が赤字(昨年日本が赤字になったのは貿易赤字)になった場合には、長期的な円安になるので注意が必要となります。
■短期変動
次に上で短期では上下すると書きましたが、その短期とはどれくらいの期間を指すでしょうか?
これまでの為替の推移をみてみると1990年から1995年までの円高期間、その後の1998年までの円安期間、1999年から2000年までの円高期間と2001年から2002年までの円安期間と為替の場合はある程度長めの期間動いていることがわかります。その期間で2−5年の間は「短期的に」円高や円安に振れ続けることがわかります。
さらに、円安期間と円高期間には比例関係があることが上の表から読み取れます。「短期的に」長めの期間円高だったら比例して円安期間も長めになるようです。
ちなみに現在は2007年から2011年終わりまでの4年間にわたって円高期間であったため、もし今が転換点であるならばその後の円安期間は経験則では2012年から2015年もしくは2016年ごろまで3、4年程度「短期的に」続く可能性があることがわかります。
また、もう少し長いスパンでの為替についても下記をご参照ください。