トヨタ自動車が2014年12月に発売したMIRAIは、世界においても史上初の量産型の燃料電池車です。
トヨタ自動車
MIRAI
現在においても自動車はガソリンか軽油で動くエンジン方式が主流です。TESLAを筆頭とする電気自動車が数年前より拡大しつつありますがまだまだ普及途上にあります。
ここにきてトヨタから量産型の燃料電池車が発売されたため、既存のエンジン車と今後拡大が見込まれる電気自動車、燃料電池車を比べてみたいと思います。
まずは既存のエンジン車と電気自動車&燃料電池車にはどのような違いがあるのでしょうか?
◆エンジン車 VS 電気自動車&燃料電池車
エンジン車との違いは違いは動力源
エンジン車は動力がその名のとおりエンジンが動力源であるのに対し、電気自動車と燃料電池車はいずれもモーターが動力源であるという違いがあります。
実は電気自動車と燃料電池車には動力源については差はありません。
それでは電気自動車と燃料電池車にはどのような差があるのでしょうか?(以下エンジン車は省略)
◆電気自動車 VS 燃料電池車
違いは電気の貯蔵装置
電池やバッテリーという言葉から電気があたかも貯められるかの様に感じることもあるかと思いますが、実は電気を電気のままで貯めておくことは現在の技術では困難であり、電気を貯めるためには電気により特定の物質を違う物質に変換しておくことで、あたかも電気が貯めているかのように見せているのが現状です。
電気自動車 最先端の車ではリチウムイオン電池を使用
燃料電池車 水素と空気中の酸素を貯蔵用として使用
以上より、電気自動車と燃料電池車は動力源は共通のモーターを使用するのに対して、電気の貯蔵装置に大きな違いがあるわけです。
電気の貯蔵装置がリチウムイオン電池と水素の違いから充電方式にも差が生じます。
◆電気の貯蔵方式が異なるため充電方式にも差
電気自動車 リチウムイオン電池に充電するための電気を補充
燃料電池車 電気を発電するための燃料である水素を補充(酸素は空気中より補充)
◆普及に向けての課題
電気自動車
i. 充電についての課題は少ない
電気は既に一般家庭を含め広く普及しているため、補充するのは時間さえ考慮しなければ極めて容易であり、技術的なハードルは低いです。もちろん急速充電という課題はありますが充電自体の課題は少ないです。
ii.貯蔵方式である電池が高価
しかし、貯蔵方式であるリチウムイオン電池が重く高価であることが大きな課題としてあります。長距離走るためにはより重たい多量のリチウムイオン電池を車に搭載する必要があるが、車重が増加すると走行距離に悪影響を及ぼします。
燃料電池車
i. 充填に大きな課題
水素はこれまで燃料としては使われてこなかったため、水素の製造、供給網、充填には大きな課題が残っており現時点では大変コストがかさみます。ここがどこまで低減できるかが最も大きな課題かと思います。
ii.貯蔵方式である水素と燃料電池も課題有
また貯蔵方式である水素と燃料電池についても新しい技術であるため今後とも多くの技術革新が起きると考えられます。特に水素を車内のタンクに高圧で貯蔵する必要がある点に大きな課題が残っているように思います。
このように電気自動車と燃料電池車にはいずれにも課題が残っています。しかし、リチウム電池と水素を用いる燃料電池はどちらも電気を貯蔵するための装置としてライバルの関係にあるため、どちらかの技術革新及び価格低減が進むと遅れた方の技術は廃れる可能性が高いと思います(例:テレビでいう液晶方式とプラズマ方式のような関係)。
この先10年でリチウム電池と水素燃料電池がどちらが覇権を握るかはわかりませんが、今後いずれかの時点でリチウム電池と水素燃料電池のいずれかに収斂していくのではないかと思います。