(各都市の位置 デュッセルドルフはケルンのすぐ上の位置 出典:GoogleMap)
の続きです。
前回の記事で、オランダのアムステルダム、ドイツのフランクフルトやデュッセルドルフ、フランスのパリ、ベルギーのブリュッセルの4カ国5都市を候補としてあげました。
それぞれの都市の属する国について地理的要因、マクロ経済、会計・税務、人材の各面から比較したいと思います。
◆地理
5都市の位置関係については上の地図を参照ください。
ちょうどベルギーのブリュッセルが5都市の真ん中にあり、この都市にはEU本部があります。アムステルダムーパリ間でも500km程であり、車で5時間で着く距離にあります。
◆マクロ経済
2016年の経済成長率の予測(国別)
オランダ 1.7%
ドイツ 2.0%
フランス 1.7%
ベルギー 1.5%
出典:European Commission Economic Forecast
経済成長率ではドイツが一歩リードしていますが、英国離脱前の予想であり差はほとんどありません。
2016年のインフレ率の予測(国別)
オランダ 1.3%
ドイツ 1.8%
フランス 1.0%
ベルギー 1.3%
出典:European Commission Economic Forecast
ドイツが若干高いですが、同じユーロ圏で財政規律もあるためインフレ率も差異は小さいです。
2016年の失業率の予測(国別)
オランダ 6.9%
ドイツ 4.4%
フランス 10.0%
ベルギー 8.1%
出典:European Commission Economic Forecast
これを見るとなぜドイツだけが移民を大歓迎しているのかよくわかります。
ドイツだけ極端に失業率が低い予測となっており新たな労働者がとても必要とされています。
◆会計・税務
会計基準
会計面では上の4カ国の上場企業はいずれも国際会計基準であるIFRSの適用が義務付けられており差異はありません。また、いずれの国でも非上場会社についてのIFRSの適用は容認されています。
税率(法人実効税率)
オランダ 25%
ドイツ 20%代後半(2011年の平均は29.83%)
フランス 33.33%
ベルギー 33.99%(但し優遇制度あり)
出典:JETRO
配当課税
オランダ 100%免税
ドイツ 95%免税
フランス 95%免税
ベルギー 95%免税
消費税率(VAT)
オランダ 21%
ドイツ 19%
フランス 20%
ベルギー 21%
出典:JETRO
税制面ではオランダが最も有利かと思います。また、フランスには富裕税という130万ユーロ以上の純資産がある場合に対象となる税金があるため経営陣が移動を躊躇するかもしれません。
◆人材面
イギリスのロンドンからの移動となると国民の英語の通用度が意識されるかと思います。
EF能力指数(英語力を測る指標)
オランダ 66.19
ドイツ 58.74
フランス 50.53
ベルギー 58.74
出典:マイナビ
この4カ国の中ではオランダの英語力が頭一つ抜き出ています。
地理的要因、マクロ経済、会計・税務、人材の各面から比較しました。どの国・都市にも特徴があり、どの都市が絶対的に強いということは言えないかと思いますがややオランダとドイツが強いかもしれません。
今後実際にどの都市への大移動が多く起きるかはわかりませんが一つの参考としてくださればと思います。