私は学生時代AIESEC(アイセック)の一員として過ごしました。このたびの痛ましい事件の被害者の方にまずはお悔やみ申し上げます。
(当記事は、静かにしてほしいと思われる遺族の想いを考え一度は削除しました。
また想像で心ない記事を掲載する一部のサイトに対しては、静かにして欲しいであろう遺族のことを思い、私から該当記事を削除してくれないかとお願いしましたが対応されませんでした。
このため偏った情報のみがネット上に残されていることは、遺族、仲間を失って辛い想いをしている方々及び状況がわからない一般の方々のためにならないと考え、再度掲載することとした次第です。)
今回の不幸な出来事からAIESEC(アイセック)への注目が集まっておりますが、元メンバーの一員として私の知っているAIESECについて記載したいと思います。
なお、AIESECについての私の知識は当時のもので、だいぶ時間が経過しているため一部不正確な箇所や現在には当てはまらない箇所もあるかもしれませんがご容赦ください。
◆なぜAIESECが設立されたか?
第二次世界大戦後のヨーロッパにおいて二度と世界大戦を繰り返さないようにドイツやフランスといった戦争を行った相手国同士の学生たちが、お互いの国の人々をより知り理解し合うことができるようにスタートしました。
簡単に言うと、将来リーダーとなるであろう若者が様々な国に友だちを作っておけば、将来、その国と戦争したりとかしたくなくなるよねってこと。
◆AIESECの活動は?
海外の企業やNPOへの学生インターンシップの運営です。企業等からの協賛はもらったりしますが、基本的に全て学生が運営し、基本的には卒業生が運営に関与することはありません。
基本的に、AIESECは研修生(インターンシップ生)の送り出しと受入の両方を行います。ただ相互というわけではなく、A国の学生がB国の企業でインターンシップを行い、B国の学生がC国の企業でインターンシップを行ういう形で様々な国々のアイセック間で学生の交換が行われます。
◆AIESEC(アイセック)ってサークルなの?NPOなの?
ちょうど私のいた頃に、多くの優秀な方々がご尽力され、大学のサークルからNPO法人化しました。私自身は別プロジェクトだったためNPO化プロジェクトには関わっていませんが、相当大変だったと思います。
◆研修生と派遣先はどのように決まる?
まずは、申し込むのに一定レベルの語学力と専門性が要求され、一定レベルをクリアした方のみが研修候補生となることができます。
AIESECでは世界で一つのマッチングシステムを用いており、マッチングシステムにより研修先が決定されます。世界中で登録された研修候補生から選ばれた複数の最適な候補者について、研修受入企業に提示し、受入企業が認めた場合に研修生が研修に行くことが可能となります。
このようなマッチングシステムのため、英語等の語学力が高く専門性も高い世界中の候補者との激戦のため、日本人の候補生で派遣先が決まることは基本的にはかなり難しいです。なお、登録してから一定期間たっても派遣先が決まらない場合には研修候補生から外されるシビアな仕組みとなっています。
このため、研修に行けることが決まった研修生というのはかなり能力が高いと思います。
◆インターンシップ生については、どこまでケアするの?
出発前のレクチャーから帰国後の報告会までアイセックが行いますが、基本的に派遣国と受入国のそれぞれにアイセックの組織があるため、出国後のケアは受入国側のアイセックが行うことになるかと思います。ただ、ケアについては国によって国民性が色濃くでるため、日本人が期待するレベルのケアは日本以外の国で期待することは難しいかと思います。
◆女性を一人で海外に送るなんて無責任では?
私の経験上は特に日本では女性の意識の方が男性より数倍高く、私が関わった限りでは申込者の半分以上は女性だったと記憶しております。女性はより積極的に海外との交流を目指すイメージがありました。
私の知っている知識が皆様のAIESECに対する理解に少しでもお役に立てば幸いです。なお、現在のAIESECの規模は下記の通りのようです。
AIESEC in Numbers
- 110 Countries and territories
- 730 Local Offices
- 2,100 Universities
- 60.000 Members
- 16.000 International Internships
- 20.000 Leadership Roles
- 4.000 Partners/sponsors
- 470 Conferences annually
- 945,000 Alumni
- 60 years of experience
(AIESEC Internationalより引用)
AIESEC International
http://www.aiesec.org/
<2012年8月更新>
関連記事へのリンクを追加しました。
◆関連記事
想いを言わないことも勇気
興味深く拝見させて頂きました。
ただ最後の、
◆女性を一人で海外に送るなんて無責任では?
に対する解答が的外れに感じました。
おそらくこういった疑問を持ってここを読む方々は、
女性を一人で海外に送るに当たってどういった
リスクヘッジを行なっているのかを聞きたいのだと
思います。
また現在の解答では、女性が行きたがってるから行かせ、たとも取れてしまいます。
トウハト様、丁寧なコメントありがとうございます。
私がその答えを書くのは難しいです。何かを想像で書くと誰かを責めることになってしまう可能性がありますので。