(クリックで拡大します 産業用の各国の電気料金)
(クリックで拡大します 家庭用の電気料金 Europe’s Energy Portalよりいずれも引用)
最近日本でも太陽光発電がはやり始めたせいか、太陽光発電先進国のドイツの電気代が高いという記事が散見されるので、確認してみることにします。
ドイツの電気代(消費税等込み)
産業用 o.1127€/kWh(約12円)
家庭用 0.2541€/kWh(約26円)
日本の電気代
産業用 12円+基本料金
家庭用 24円+基本料金(参照:確実な投資 LED電球のすすめ)
ドイツの消費税(VAT)が19%に対して日本は5%なので、税抜きではドイツと日本は同等ですが、ヨーロッパの中では高い部類に入りそうです。
ちなみにドイツの消費電力の総量4,955億kWh(2009年参照:IEA)とのことですが、太陽光の2002年上期のソーラーの発電量は147億kWh(参照:ソース)なので年間で300億kWhとしてもまだ全消費電力に占める割合は6%程度です。
しかし、ドイツの太陽光発電量は、年何十%もの高い成長率で急速に伸びているので、10年後には20%弱〜30%強を占めるぐらいになるかもしれません。
しかし、太陽光発電の性質が昼間中心の発電で夜間や雨の日は発電しないことを考えると、発電に占める割合は多くても30%程度ぐらいに押さえる必要があり、それ以外はそれ以外のエネルギー源とする必要があるかと思います。
ちなみにドイツを上回る自然エネルギーの国がヨーロッパにはあり、それはスペインです、
スペインは、風力発電で15%、水力で15%と自然エネルギーで既に30% を占めています(参照:2020年オリンピック3都市申請ファイル比較)。
ではスペインの電気代はドイツよりも高いのでしょうか?
スペインの電気代
産業用 o.0929€/kWh(約10円)
家庭用 0.1959€/kWh(約20円)
スペインでは自然エネルギーである風力で15%を占めているにも関わらずあまり電気代は高くありません。
こうしてみるとドイツが電気代が日本と同等程度と高いのは、自然エネルギーのせいではなく単に給与水準の高い先進国である可能性もあります(スペインは、以前欧州の工場と呼ばれた程賃金等の各種コストが安かった国)。
もしくは風力発電は安いけど太陽光発電はコストが高いのかもしれません。
いずれにしても、原発がほとんど止まっている日本では代替エネルギーとして太陽光や風力、地熱といった自然エネルギーを増やす方向に既に舵をきっています(参照:1万円の原野にソーラーパネル設置で儲ける方法)。
しかし、それを好ましく思わない人もおり、そのような人は自然エネルギーに対して意図的にネガティブな情報を流すかもしれませんし、またその逆もあり得ます。
そのような場合には、このように元の資料に当たることで、意図的に流されたかもしれない情報ではなく、大元の情報を確認することができます。何かの判断が伴う場合には特にこのように大元の情報源にあたり直接情報を確認することが重要なように思います。
<2012年11月更新>
ドイツは原発で作った安いフランスの電気を多く輸入しているということを言う方がいますが何を見ていっているのでしょうか?
IEAのHPを見る限りドイツは輸入より輸出の方が多い国です。
ドイツ(2009年のエネルギー IEA)
電気の輸入 418億kWh
電気の輸出 541億kWh
またドイツに限らないかもしれませんが、作った電気の1割程度は自家消費またはロスとされ、実際に使用されるのは9割程度のため、このロスの多い発電と少ない発電についても本来は注目するべきと思います。
確かに、2009年のDataからすると、ドイツにおいて輸入と輸出を比べると輸出の方がkWhでは多いですね。
あまり電気関係に詳しくないので、以下の自分のデータの取り扱い方法が正しいかはわかりませんが、
また、2009ドイツ電気生産構成比について、
(ドイツ)国内生産電気量(Electricity Production 5,924億kWh)の内、いくつか代表的なものを計算すると、
43.3%は石炭(coal and peat)から
22.8%は核燃料(nuclear)から
13.3%は天然ガス(gas)から
6.5%は風力(wind)から
1.1%は太陽光(solar PV)から
と、この時点では風力が太陽光より貢献しており、その風力でさえ全体の6.5%しか占めてませんね。
確かに、情報元、資料元の確認は大切ですね。
(国内生産に輸入、輸出を加えて、国内供給量となります。ここでの構成比率は、国内生産内の比率です。)