（箱根ロープウェイHPより）
（箱根ロープウェイHPより 強風に強い２本ロープが特徴的なフニテル）
江東区長さんが汐留ー有明間をロープウェイで結ぶという計画を発表されて話題になっています。
そこで具体的にこの計画の可能性について検討していきたいと思います。
◆強風対策は？
そもそも、ロープウェイというと風に弱いイメージがあり、臨海部は強風が吹くため難しいのではという指摘があります。
それに対しては、既存の箱根ロープウェイのような２本ロープを用いたフニテル式であれば、強風にも強く揺れも少なく安全性が高いとのことですので現実感があります。
◆運行速度は？
次に運行速度の問題があります。
同じ区間には とても遠回りをするゆりかもめも通っていますので、少なくともゆりかもめの運行速度よりも早くないと利用する人はいないかと思います。
現在 汐留ー国際展示場間で２１分、汐留ー有明間でも２３分あればゆりかもめで行くことができます。
(ゆりかもめHPより クリックで拡大します)
それに対して計画されているロープウェイは、新設される環状２号線沿いにほぼ直線に結んだ約４kmの区間を通ることが計画されているとのことです。
既存のロープウェイの速度は、箱根ロープウェイは高低差があるため秒速５m（時速１８km）ですが、国内最高速度のびわ湖バレイロープウェイの場合秒速１２m（時速４３km）と高速です。
汐留−有明間は平地で高低差がないので、びわ湖と同じ秒速１２m（時速４３km）がでると仮定した場合、
４０００m÷１２m＝約６分弱（５分３３秒）で結ぶことになります。
箱根ロープウェイと同じ速度だとしても約１３分と既存のゆりかもめの約半分で済みます。
◆途中駅設置は可能か？
また、ロープウェイって途中駅って設置できるの？という疑問がありますが、箱根ロープウェイでは途中駅の設定もされていますので、途中駅の設置に技術的な問題はないかと思います。
設置駅の候補を挙げるとすると
汐留−勝どき−晴海−市場前−有明コロシアム前−国際展示場
あたりの計６駅の設定が有力ではないかと思います。
なぜ勝どき−晴海−市場前−有明コロシアム前の４駅が途中駅として必要かというと
勝どき、晴海、有明コロシアム前には、現在多くのタワーマンションが建設されている住宅地であり、
市場前が千客万来施設等の築地市場の移転される豊洲市場が建設されるからです。
◆既存タワーマンション住民から反対されないか？
場所によっては、既存タワーマンションのすぐそばを計画されるロープウェイが通る箇所もあるかもしれませんので既存住民への丁寧な説明は当然重要です。
しかし、レインボーブリッジ等が見えることで資産価値が上がるように、新設されるロープウェイのゴンドラを夜間には綺麗にLED等でライトアップすれば、ロープウェイに面したタワーマンションも、綺麗なロープウェイが見えるマンションとして資産価値が向上するかもしれませんので、一部には反対する人がいたとしても、利便性向上と資産価値の向上を考えればむしろ賛成する人の方が多数派ではないかと思います。
◆まとめ
汐留有明間のロープウェイについては、細かなニーズを満たす建設方法であることが何よりも重要です。
これまでは曲線の交通機関が多かった臨海副都心地域で初の直線的な交通機関であり、速度が早く適切な途中駅を設ければ、既存住民とオリンピック等での湾岸利用者の利便性が大きく向上するかと思います。
ぜひとも素敵なロープウェイを建設してほしいと期待しております。
参考：
箱根ロープウェイ
http://www.hakoneropeway.co.jp/about/
＜２０１４年７月追記＞
江東区の区長への手紙にて、ロープウェイについてどのように考えているか意見とともに問い合わせました。
以下、江東区都市整備部さんからの文章による回答からの抜粋です。
「競技場の周囲は、今後も大規模開発の進展が見込まれ、都心方向や東京国際空港との更なる連携強化が求められます」
「ロープウェイは、都心と直結し、ゆりかもめ等の既存の公共交通機関を補完するものとして、大会開催時だけでなく開催後も十分にまちに貢献するものと考えている」
「運行速度につきましても、利便性を考慮すべきと考えている」
「ロープウェイ自体の意匠については、臨海部にふさわしい景観となるよう配慮」
いずれも臨海副都心の住民に考慮された回答となっており、大変好感が持てます。引き続き江東区のロープウェイ構想を応援していきたいと思います。
